「江戸妖怪かるた」
 多田克己編、国書刊行会、3400円

トレーディングカードの次は「かるた」ブームが来る?

 江戸時代のかるたは、一種のトレーディングカードだ。その時代に流行った風俗やイベントは、だいたいかるたになっている。しかも、その絵札はミニ浮世絵のようなもので、絵柄も綺麗だ。そして、同じ題材で、何種類ものかるたが出版されていて、発行部数がそれほど多くない。この「妖怪かるた」にも、付属の解説本に、今回復刻されたかるたとは絵柄や文字が違う別バージョンが紹介されているし、他にも、江戸時代には、多数の妖怪かるたが出回っていたようだ。コレクターもいただろうし、例えば、「い」なら「い」のカードなら、それを交換しても遊ぶには困らないのだから、様々なカードを組み合わせて、独自のかるたを作っている人もいただろう。水木しげるの「妖怪伝」カードもいいけど、この版画で描かれた江戸の妖怪は、またいっそう魅力的だから、他のも集めたくなってくる。
 しかも、かるたは、絵だけでなく、それに対応する文字札があって、そこにストーリーを内包することができる。絵と言葉の両方があって初めて完成するのが、かるたなのだ。ああ、奥が深い。
 浮世絵にせよかるたにせよ、もう著作権は切れているのだし、ホームページで印刷できるようにして公開したら楽しいだろうなあ。