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C.H.A.O.S Continuum


販売元:BMGビクター(Mac)、NECホームエレクトロニクス(WIN)
定価:11000円(Mac)、9800円(Win)
対応機種:Windows、Macintosh


●C.H.A.O.S Continuum

QuickTimeムービーをフルに利用したアクションゲーム。未来世界で暴走するコンピュータに、20世紀のコンピュータ・オペレーターであるプレイヤーが、タイム・プローブという時空を越えて操作できる無人探査機のようなもので侵入し、最終的にコンピュータを停止させるというのが目的。画面構成、ゲームシステム共に「IRONHERIX」にそっくりの、同タイプのゲームだが、後発の分、洗練されている。音声にSoundManager3.0の合成音を使い容量と速度をかせいでいたり、ゲーム中のイベントもランダムに変化していくなど、行き届いた作りになっている。

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Cars! Cars! Cars!


販売元:The WPA MULTIMEDIA COLLECTION
定価:輸入盤
対応機種:Macintosh


●Cars! Cars! Cars!

古き良きアメリカの車文化を250のムービーで紹介しようというCD-ROM。かつて、まだMacでQuickTimeムービーそのものが衝撃だった時代に作られた、ムービーを収録しただけのCD-ROM、ということに今ではなってしまうようなタイトルではある。ただ、クラシック・カー(当時の最新鋭)が、モノクロのムービーでカクカク動く姿は、ノスタルジックな雰囲気だし、映像自体は結構貴重なものだ。テキストも充実しているし、現在日本で発売されている出来の悪いデータベースCD-ROMに比べたら、欲がない作りの分、こっちの方がはるかにいいかもしれない、とも思う。

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CCガールズ ネイキッド・カラー


販売元:ポニーキャニオン
定価:9800円
対応機種:Macintosh


●CCガールズ ネイキッド・カラー

最近メンバーチェンジしたCCガールズの、かつてのメンバーによる作品。ちょっと前に発売された、メンバーそれぞれを色にたとえて、その色のイメージでそれぞれの物語を撮影したビデオがある。このCD-ROMも、その路線を踏襲して作られたメンバーのプロモーション的な作品(既に半分になっちゃったけどね)。基本的には彼女たちの写真を眺め、ムービーを見たりして楽しむ、ファン向けの内容。生の声によるインタビューやちょっとしたゲームのようなものも収録されていて、ビデオでは味わえない彼女たちに接することができる。ひらがなをタイプして、その言葉を彼女たちに喋ってもらえるVoiceMontageは、ムリがあるけど、結構ハマれる仕掛けだ。

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CELLOFANIA


販売元:トンキンハウス
定価:12800円
対応機種:Macintosh、Windows


●CELLOFANIA

イラストレーター伊藤正道が描く、まるでセロファンを通して見るような柔らかい光に満ちた世界を、インタラクティブなCD-ROMにした作品。少年が月の船に乗って、様々な世界を訪れ、そこで色んなものを見たり記念写真を撮ったりするという、ジャンルとしては、動く絵本に属する作品だ。一つ一つのキャラクターや、家や木々といった背景に至るまで、画面にあるもの全てがクリックすれば何らかのリアクションを返してくれるのが、一番の魅力。CD-ROMには珍しいふわふわとした世界でのんびりと遊べるから、幅広い年齢層に楽しめる作品になっている。

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CHUCKLE TIME


販売元:太洋堂
価格:6300円
対応機種:Macintosh


●CHUCKLE TIME

小さなギャグや、ちょっとしたゲームが散りばめられた、インタラクティブムービー。館の中を探索し、色んなキャラクターと出会い、ちょっと戦ったりもしながら、部屋の鍵を探し出し、館の主人と対決するというストーリー。いちいち小ギャグをかます、関西ならではの会話や、可愛いんだか不気味なんだか分からないキャラクターデザイン。大袈裟過ぎないこじんまりとした構成が、うまくはまって、誰もが楽しめるような作品に仕上がっている。派手な見せ場や、あっと驚く仕掛けはないけれど、一つ一つのイベントが丁寧に作られていて、好感が持てる。

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CINEMA VOLTA


販売元:ボイジャー
定価:6500円
対応機種:Macintosh


●CINEMA VOLTA

古今東西の電気がらみの発明発見を、何となく歴史を追いながら、茶化しながら、グラフィックとテキストで一気に見せてしまおうという、新しい本を目指した作品。眺めてるだけで、情報が頭に流れ込むように工夫されているが、ツメが甘いのか、そう簡単にはいかないな。でも、面白いことは面白い。エジソンからモース、フランケンシュタイン博士、ジェイムズ・ジョイスとその妻など、それぞれにどこかでエレキに絡む登場人物たちの、よくわからない奇行や失敗などを中心にした文章とアニメーションが、ダラダラと流れていく。ぼーっと見てると快感だが、英語だ。

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Cinemania*95


販売元:MICROSOFT HOME
定価:輸入盤
対応機種:Windows


●Cinemania*95

このデータベースは、本当に凄い。アメリカ映画なら、収録されていないものは無いのではないだろうかと思うほどだ。。映画のデータベースということで、ムービーやスチール写真を期待する人も多いだろうが、この「CINEMANIA」は、その手のグラフィックデータは、それほど多くは収録されていない。ムービーは21本(アカデミー受賞作)、スチール写真が1000枚、役者や監督のポートレートが2000枚、映画音楽のデータが139曲と、収録されている映画の数からすれば、かなり少ない。数字で見ると多いけど、使ってみるとほとんどの映画はテキストのみのデータだ。そのかわり、テキストに関しては、もうこれでもかというほど収録されている。シナリオの抜粋が168本、25000本近いレビュー記事、全ての映画のスタッフ・キャスト表など、ムービーなどを減らして、データの数を増やした構成のおかげで、正に史上最大の映画データベースと言える内容になっている。
 マイクロソフトのデータベースCD-ROMは、基本的にどれも優秀で、しかもインターフェイスが統一されているので、使いやすい。ボタン操作で、以前に検索したデータを遡ったり、いくつもの検索結果を同時に開いて参照できたり、全てのテキストがリンクされているなどの、データベースには欠かせない機能がきちんとフォローされているのも魅力だ。
 このCINEMANIAでは、例えばジョディ・フォスターを検索すると、彼女のスチール写真とバイオグラフィが表示され、ボタンを押せばフィルモグラフィーになり、そこに書かれている映画のタイトルをクリックすれば、その映画のデータにジャンプ、という操作になっている。映画のデータでは、カラーかモノクロか、上映時間、コード(R指定とか)、ビデオの有無、受賞関連のそれぞれがアイコンで表示される。更にスタッフ・キャスト、三人の批評家によるレビュー、CINEBOOK記載の解説(あらすじ)を切り替えて見たり、もし収録されていればスチールなどを見ることも出来る。
 検索はあらゆる条件を細かく設定できるし、データのファイルへの保存や印刷もボタン一つでOKだし、好みの映画のリストを作って、いつでも呼び出すことも出来る。ムービーや写真だけを見ることも、ジャンルを指定して検索することも出来る。
 もう文句の付けようがない、アルティメイト・シネマ・データベースだ。唯一の問題は、この良質のテキストを日本語で読むことが出来ない、ということだけだな。

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COMMICBOOK CONFIDENTIAL


販売元:ボイジャー
定価:6500円
対応機種:Macintosh


●COMMICBOOK CONFIDENTIAL

アメリカのポップカルチャーの代表ともいうべき、アメリカンコミックス、通称アメコミについて、その歴史から、発展弾圧を経て現在に至る様子を、当時の作者などのインタビューを中心に構成した同名の映画を中心にして、アメコミの全てを収録したCD-ROM。映画は日本未公開だが、アニメーションと当時のフィルム、インタビューをうまく構成して、アメコミの歴史が手に取るようにわかる。表現規制の部分は映画もテキストによる関連資料も力が入っている。他に、現在の代表的作家のプロフィールや代表作も収録されていて正にアメコミ・エンサイクロペディアだ。

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Cosmology of Kyoto〜京都千年物語


販売元:ヤノ電器
定価:14800円
対応機種:Macintosh


●Cosmology of Kyoto〜京都千年物語

京都1200年を記念して作られた、平安の都をインタラクティブに体験できるデータベースCD-ROM。常に暗い京都の都を、鬼や乞食、色狂いの女、高僧、陰陽師などに出会い、徳を積み、業を抱えながら生きていく。何度も生き変わり死に変わり、地獄の責めも味わいながら、生と死が、魔界と人間界が隣り合わせにあった時代を探索する。京都の町で出会う様々な建物や人物について、常にオンラインで呼び出せるデータベースによって、詳しい知識を得ることも出来る。かなりエグいグラフィックも多い。都会の闇の起こりを、充分に楽しめるエデュテーメントソフトの名作。

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CREEPY CRAWLIES


販売元:MediaDesignInteractive
定価:輸入盤
対応機種:Macintosh


●CREEPY CRAWLIES

這い回るものたち、とでも訳す、正にそのタイトル通りのCD-ROM。蜘蛛、百足、いも虫、ヘビ、カエル、など、特に女性が嫌がるような、気持ち悪い生き物たちに関するデータベース的な作品。忌み嫌われる彼らについての、正しい知識と、その実体について勉強できる。まず敵を知ること、ということだろうか。地面にいるもの、湿ったところにいるもの、毒のあるもの、羽根を持つもの、などにジャンル分けされたインデックスも気持ち悪い。QuickTimeMovieも多数収録されていて、生態観察にもクリップ・ムービーにも使うことが出来る。QuickTime初期の珍品。

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CRUSADER:NO REMORSE


販売元:EAV
価格:6800円
対応機種:DOS/V


●CRUSADER:NO REMORSE

ウルティマ、ウィング・コマンダーなどの人気シリーズでおなじみのOrigin Systemsによるアクション・アドベンチャー・ゲーム。近未来のレジスタンスを舞台にして、リーダーからの命令を忠実に実行するレジスタンスのメンバーが主人公。クォータービューの視点で見るリアルなグラフィックと、アクションものの基本を押さえたゲームバランスが魅力だ。ペンティアムマシンで遊ぶことをお奨めする。

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Cuckoo Zoo


販売元:Electronic Arts
価格:輸入盤
対応機種:Macintosh


●Cuckoo Zoo

アルファベットや数字を遊びながら学べるEdutaimentソフト。汽車に乗って、動物園をぐるっと一回り。途中で様々な動物たちと遊んでいるうちに、言葉や数のことが分かってくるように作られている。サバンナ、熱帯雨林、農場、極地の4つのエリアに分かれていて、それぞれの場所には、その場所に生息する動物たちが、ゲームを用意して待っている。学習レベルも三段階にアップすることが出来て、ただ、数が増えたりするだけでなく、徐々に高度なことが同じゲームで学べるバランスのいい作りになっている。子どもが大好きな遊びに巧みに学習の要素を取り入れた作品。

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クラシック音楽ガイドVol.1〜バッハ以前


販売元:ボイジャー
定価:5500円
対応機種:Macintosh


●クラシック音楽ガイドVol.1〜バッハ以前

クラシック音楽を、その歴史を追いながら、鑑賞方法、時代と音楽の変化などを、実際の曲と共に解説するシリーズ、「クラシック音楽ガイド」。このCD-ROMは、そのシリーズ第一作で、以下、「ハイドンとモーツァルト」「ベートーヴェン以後」「ロマン派の巨匠達」「ストラヴィンスキーの登場」と続く。CD-ROMには、英語版の検索・解説のスタックと、音楽CDのデータが入っていて、日本語版スタックはフロッピーで配布される。スタックで解説を読み、そこから音楽CDを呼び出すというスタイル。CD-ROMである必然性は感じられないが、内容は濃い。

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クラシック音楽ガイドVol.2〜古典派の理想


販売元:ボイジャー
定価:5500円
対応機種:Macintosh


●クラシック音楽ガイドVol.2〜古典派の理想

ボイジャーの「クラシック音楽ガイド」シリーズ、全6巻中の第二巻。音楽CDのデータと検索・解説のスタックによって構成されている。今回は、ハイドン、モーツァルトを中心に、18世紀古典派の時代を取り上げている。50以上の演奏の実例を引用しながら、それぞれの作曲家について分かりやすい解説がなされる。著者は音楽評論家のアラン・リッチ。肩の凝らない文体で、読み物として楽しみながらクラシック音楽を学べる。引用されている曲は全て市販のCDからの抜粋で、使用CDのリストも付いているため、バイヤーズ・ガイド的な使い方もできる。

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クレッセント殺人事件 三部作


販売元:みずき
定価:各9800円
対応機種:Macintosh


●クレッセント殺人事件 三部作

女子高生樹里亜が巻き込まれる連続殺人事件を、探偵、女子高生、TVレポーターの三つの視点から解きあかしていくマルチ・ストーリー・推理サスペンス・ゲーム。三部作になっていて、それぞれ別に発売される。第一巻はサスペンス・ストーリー「探偵(ハイエナ)の事情」、第二巻が美少女サスペンス・ロールプレイング「閉ざされた日記」、三巻がサスペンス・シミュレーション「レポーター早乙女京子」という構成。同一の殺人事件をもとに、各タイトルは全く別の操作法及びゲーム構成で展開する。マルチ・ストーリーであり、別の三つのゲームでもあるという異色作。

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チャイナクライシス


販売元:プロフォースシステム
価格:12800円
対応機種:Macintosh、Windows


●チャイナクライシス

プレイヤーが、ストーリー中で展開される任務の司令官となり、いつ命令を下すかを考え、意志の決定を行うことで、ドラマの進行を左右する。命令を下すタイミングと決定の内容がストーリーを変えていくわけだ。そういうドラマとゲームを融合させたタイムディシジョン・クリティカル・コマンド・シリーズの第一弾が、この「チャイナクライシス」だ。近未来の突発的に起こった中国海軍との交戦に、プレイヤーは旗艦空母「赤城」の長官として、判断と決断を下さなければならない。ドラマと連動した精緻なCGと実写の合成による画面、ナレーションなどが迫真。

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中央競馬完全ガイド'94


販売元:NECホームエレクトロニクス
価格:12800円
対応機種:Windows


●中央競馬完全ガイド'94

いきなり暗い話題で恐縮だが、ビワハヤヒデとウイニングチケットが引退してしまった。屈腱炎が原因だ。これで、去年のクラシックを賑わせた三強で残るのは、これも屈腱炎で休養中のナリタタイシンだけになってしまった。来年の楽しみだった三強vsクエストフォベストの対決も、ビワハヤヒデvsナリタブライアンの兄弟対決も見ることができなくなってしまった。トウカイテイオーもベガも引退したし、ノースフライトもマイルCSが引退レースになるらしい。これでは、ヒシアマゾンvsノースフライトも見られない。スターホースの相次ぐ引退の中、この「中央競馬完全ガイド'94」は、早くも古いデータになってしまった。
 このCD-ROMは、テレビ東京の「土曜競馬中継」と雑誌「ケイバブック」、そして競馬シミュレーション・ゲームの名作「ダービー・スタリオン」が合体して出来た、中々の作品。春のGIは全てムービーで収録されているし、そのステップレースや、過去十年のデータなども併録して、今年の春競馬を総括的に見ることが出来る。更に、秋のGIロードに向けて、そのステップレースのレース体系や過去十年のデータを同じく収録して、後半戦のレース展望にも役立てられるようになっている。それにしても、このCD-ROMでも古馬GIの主役扱いの二頭が引退してしまったのは、本当に寂しい。このCD-ROMを見てるだけでもツライものがある。今年のジャパンカップは有馬記念はどうなってしまうんだろう。
 ま、競馬は新陳代謝の早い、世代交代も早いジャンルだ。いつまでもクヨクヨしてはいられないのだけれど、あー、カリブソングも死んじゃった、ぐすんぐすん。
 どちらかといえば、初心者向きの作りになっていて、マニアには物足りない部分もあると思うけれど、競馬場のコースガイドなどは、距離別に、そのコースの回り方だけでなく、高低差までグラフィカルに表示されるなど、行き届いた構成になっている。特に菊花賞から使われる、新装の京都競馬場のコースなど、一足先にシミュレートできて嬉しい。また、実際に見たことのない競馬場をより、身近に知ることもできる。
 更に、登録されているオープン馬、騎手、調教師のプロフィールも収録されているので、これだけで、騎手名鑑、調教師名鑑、現役馬名鑑の三冊分になる。現役馬データは、オープン以上の馬だけしか収録されていないのが残念だが、三代血統表や近五走のデータも見ることができる充実ぶりだ。レコード・ブックも収録されているし、美浦、栗東の両トレーニングセンターのガイドもあって、関東馬関西馬の調教の違いなんかを想像することもできる。
 データベース部分はWindowsがあれば見られるんだけど、ダービースタリオンは特別版というのが収録されていて、98でしか遊ぶことが出来ない。ここで収録されているダービー・スタリオンは、セレクションレースというゲームだけだ。これは、実際の馬(実名)のと、ユーザーが自分のダービー・スタリオン・エキスパートで作った馬を、様々なコース、距離でレースさせることが出来るというものだ。これを使えば天皇賞のシミュレーションなんかも出来るわけだけど、DOS/Vしかない僕には遊べない。寂しい。
 インアーフェイスは、見たい情報のボタンを押してアクセスするという形で、画面デザインは綺麗だけど、データ間のリンクや、データのテキストファイルへの書き出しが出来ないのは残念。データ間のジャンプもいちいちEXITボタンで遡る必要があってちょと面倒臭い。ポップアップメニューがあればなあ、と思う。
 ただ、これが毎年(いや出来れば年二回)発売されていくのなら、操作性も洗練されていくだろうし、面白いものになると思う。価格は半分くらいになるといいな。あと、せっかく競走馬のデータが充実してるんだから予想ソフトもくっつけたりしてね。とりあえずは、ダビスタ特別版のWindows全機種対応版が欲しいかな。
 さあ、今年のGIロードもあと半分。いつまでもクヨクヨしないで、気合い入れていきましょう。
 それでは、競馬場で。

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中天


販売元:ソニー・ミュージックエンタテインメント
価格:7800円
対応機種:Macintosh、Windows


●中天

前作「東脳」で七度の転生を繰り返し、自らの命を取り戻したリンの強い光を持った心に、闇との戦いを前に顔をバラバラにされた「ナンシュ」が助けを求める。「東脳」が「顔」の形をした世界で命を探す円環状の旅だったのに対し、「中天」では、「顔」を探し、「闇」を相手に戦うために、三角形の宇宙を旅する。三部作だそうだから、次でこの円環が閉じることになるのだろうけど、とりあえず、今回の相手は「闇」。栗本薫の魔界水滸伝では、タナトスと呼ばれる「死の闇」が全てを食い尽くした。黒沢清監督の「スウィートホーム」では闇が襲って来る。この「中天」でも、闇アメーバという光を食う虫が出て来る。闇に潜む何者かではなく、「闇」そのものを相手にするという筋書きは比較的ポピュラーだが、話が哲学的になりやすい欠点もある。ただ、やや思想的にストーリーが展開するこのシリーズにはぴったりの相手だ。戦うべき相手が、明確になった分、ストーリーも分かりやすく、進行も一本道になって、よりゲームっぽさが増した。
 攻略のポイントは迷路。「天の川」から、迷宮を辿って「中天」と呼ばれる三つの宮がバランスをとって結ばれている世界へと入る。「星の宮」「月の宮」「日の宮」という三つの光を司る宮からなる三角形の中心には「マガタマ惑星」が浮いている。それらの三つの宮も、全て迷路というか、目的の場所に簡単には行けないようになっている。その場所の把握と、宮同士を結ぶ門を開くことが、攻略のポイントになる。とにかく、いきなり「天の川」の迷路が難しい。目印になるようなものがほとんど無い上に、一度通ったところを振り返ると何かが現れる、といった具合で、適当に動いているだけでは、どうしようもない。正解の道筋は、実は凄く簡単に作られていて、工夫しているのだけど、中々気が付かない。迷宮の設計は難しいとは思うが、ゲーム序盤からいきなりこれでは、ここでやる気が失せる人も多いだろうな。
 佐藤理氏描くキャラクターは、程良く抽象的で、この不思議な世界にリアリティを与えている。グラフィックも全体に抑えたトーンになって、見やすくなった。ただ、ゲームをしながら気が付いたんだけど、この「中天」(東脳もだけど)、キャラクターデザインや抽象化された世界構造を抜いて見ると、世界を救うために旅する主人公、それぞれに難問を出す各宮の長、アイテムを探して対闇用の武器を作る、などなど、結構正統派ロール・プレイング・ゲームの定石を踏まえているのだ。「転生」の概念を無くし、敵を明確にすることで、「中天」は、ほとんどアニメ系のロール・プレイング・ゲームと同じようなストーリー展開をする。その手の、特に「剣と魔法の世界」が好きな人には違和感無くゲームの世界に馴染めると思う。「光」対「闇」の戦いなんて、モロそれ風でしょ。闇に引き込まれて闇の手先になった奴なんかも出てくるしね。実際、「東脳」に比べ、ゲームとしてのクオリティは相当良くなっている。その分マルチメディア・エンターテイメント的な要素は薄くなっているけど、面白くなっていることは間違いない。思想的な要素や、人間の潜在意識のパロディのようなキャラクターを減らしている分、ストーリーが単なる風刺や文明批判の比喩で終わらず、広がりが出てきた。
 相変わらず、同じ所を行ったり来たりしなければならないし、難易度を高めるためだけの仕掛けが多いのが気になるが、絵や音のクオリティやシーンの美しさを優先すると、世界そのものは小さくせざるを得ないのだろう。でも、面白ければすぐ終わっても大丈夫なんだから、プレイ時間を長引かせるための工夫はやめて欲しいな。ま、難しいことは考えず気楽に遊べるゲームに仕上がってるのが何よりかな。ダンジョン系が苦手な人にはツライけどね。



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