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PARIS
販売元:Arborescene
価格:輸入盤
対応機種:Macintosh、Windows
●PARIS
インタラクティブ版「パリの歩き方」といった感じのCD-ROM。Monument、Museums、City
Square、History、Life、Walks、Parks、Shopping、Night Lifeといった項目があり、メニューからそれぞれの項目にアクセスできる。基本的なデータの表示は、パリの地図上にスポットの位置が表示され、そこをクリックすると選んだ場所の詳細なデータが表示されるという仕組み。画像は静止画像とQuickTimeムービーで収録されている。他にパリの気候や通貨、電話代、バスの料金などの生活に必要な情報も「Life」の項目でアクセスできる。パリを自宅で体験できる。
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PATTERN WORLD
販売元:ナツメ
価格:19800円
対応機種:Macintosh
●PATTERN WORLD
各地域に残る伝統的なデザイン・パターンを中心に、現代のデザインも加えた究極のパターン集が、この「PATTERN
WORLD」。テキスタイルに興味がある人はもちろん、マルチメディア・タイトルのテクスチャーの参考にもなる。「JAPAN
ASIA AFRICA編」と、「ISLAM EUROPE MODERN編」の二枚に分かれていて、それぞれ100種類のデザイン・パターンが収録されている。データ形式は、Illustratorファイル、PICTファイル、EPSファイルで、収録データのクオリティはかなり高い物だ。デザイン用データ集としてだけでなく、芸術鑑賞用としても使える。
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PEE PEE BON BON〜久住昌之のあっぱれキャラクターズ100〜
販売元:日本コロムビア
価格:7800円
対応機種:HYBRID仕様
●PEE PEE BON BON〜久住昌之のあっぱれキャラクターズ100〜
ボロアパート、マンホールだらけの路上、ふしぎな森、レトロなテクノワールドなどで、様々なキャラクターが演じるネタを鑑賞するCD-ROM。キャラクターは、「豪快さんだっ!」や「ダンドリくん」でお馴染みのマンガ家久住昌之によるもの。早い話、それがこの「ピーピー ボンボン」の全てだ。何というか、既にもう昔懐かしの感じがする、クリックしたものが動き出す系の、のーんびりした作品。
ボロアパートでは、三階建てのアパートでそれぞれの部屋を訪ねて、そこの住人や冷蔵庫、ゴミ袋、箪笥などをクリックすれば、キャラクターが現れるし、マンホールだらけの道では、そのマンホールをクリックしたら、中からキャラクターが現れて、何だかよくわかんない芸を披露してくれる、といった感じで、実に淡々としている。80年代のコミック・カルチャーの匂いが濃厚なのも、レトロスペクティブって感じ。
久住昌之によるキャラクターは、どいつもこいつも例によってクドイやつらで、そやつらが見せる芸もまたクサかったりクドかったりで、中々内容は濃い。便所で楽しげに歌う双子のカエルは、キャラクター辞典によると芸能プロダクションも持つ連中らしいし、ゴミ拾いのおじさんは、キツイ仕事をした後で、一人ホロリと涙を流す。そんな連中を、ただひたすらクリックして見つけだすという、やってるこっちも何だか切なくなる、そんな不思議なCD-ROMだ。
見つけたキャラクターは、自動的にキャラクター図鑑に登録されて、あとで呼び出すことが出来る。キャラクター図鑑には、それらのキャラクターの名前や性格設定、職業などが書かれていて、ここでどういう奴なのかを確かめてから、もう一度本人達に会った方が、笑える。ネタにハズシのギャグが多いせいか、キャラクターたちの背景がわかんないと、ただのヘンな奴等に見えるだけだったりするから。ただ、CD-ROMというメディアでは、まだ「間」をコントロールすることは難しくて、普通のお笑いをうまく表現することは出来ないんで、この手の力が抜けるようなネタの方が向いているかもしれない。基本は、ちょっとだけサブカルチャー臭いホノボノ・ナンセンス系のギャグなんで、笑えるかどうかは、個人の趣味の問題だけどね。
久住昌之という人の本領は、ボロアパートの部屋の生活感あふれる薄汚さの画面に見られるような絵にあると思うけど、ここでは、どこにでもいそうな性格をちょっと誇張したキャラクターをメインに据えている。そのせいか、マンガに見られるような迫力はあまり感じられない。しかし、何といっても100人のキャラクターだ。しかもそれぞれがバリエーションではなく、いちいち作ってある。これは凄いよね。100人のイメージファイルが、何と著作権フリーの形で付属しているというのも、あまりといえばあまりな太っ腹。ま、どう使えるかはともかくとして「あっぱれキャラクターズ100」というサブタイトルに偽り無しだ。
キャラクターそれぞれに付けられた音楽の出来の良さも凄い。このCD-ROMで一番の魅力は、雰囲気を的確に捉えた音楽の使い方だろう。キャラクターの唐突さと、あまりにハマった音楽のアンバランスは、かなり効果的。実際、クリックしてからキャラクターが現れるまでにやたらと時間がかかるため、この音楽の良さが相当救いになっている。でも、レスポンスが悪いのも、昔懐かしCD-ROMという感じで、全体の雰囲気には合ってるけどね。
それにつけても、この全体に漂う懐かしさは何だろう。オマケに付いているスクリーンセーバーも、キャラクターの絵が描かれたトランプによる神経衰弱とオセロを、淡々とやって見せてくれるシンプルなものだし、インターフェイスの不親切な感じさえ、CD-ROMの初期を思わせて、何か泣けてきちゃうよ。
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PETER PAN
販売元:Electronic Arts
価格:輸入盤
対応機種:Macintosh、DOS/V
●PETER PAN
ピーターパンの中の、フック船長から宝の地図を奪い、途中いくつかの苦難を乗り越え宝を見つけだし、フック船長をやっつけるまでのストーリーを、遊べる絵本に仕立てた作品。物語の途中でピーターパンがユーザーに助けを求め、そこのある問題をユーザーがマウスを使って解決する、という形で物語に参加できるようになっている。遊びながら学ぶことを目的としたEA
KIDSシリーズの作品で、このCD-ROMでは、対象年齢が5歳〜9歳になっている。インストール中や読み込み中にも、子どもを飽きさせない工夫がしてあるなど、細かい部分も行き届いたEdutament作品だ。
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PETER'S MAGIC ADVENTURE
販売元:Arborescene
価格:輸入盤
対応機種:Macintosh
●PETER'S MAGIC ADVENTURE
映画にもなったジェイムズ・サーバーの小説「虹を掴んだ男」の子供版のような少年ピーターの物語。眠そうな目をしているピーターが朝食を食べているシーンから始まり、テーブルの上にあるバターや果物などをクリックすると、それが夢想へのきっかけとなり、ピーターと共に夢の世界へ旅立つ。宇宙空間の無重力の世界や、昆虫の世界など、子どもが夢想する突拍子もない世界が画面に展開する。クリックに反応してちょっとしたアニメーションを見せるアイテムなどもあり、絵本CD-ROMとしては、基本を押さえた作り。英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語に対応。
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PHANTASMAGORIA
販売元:SIERRA
定価:輸入盤
対応機種:DOS/V、Windows
●PHANTASMAGORIA
ゴシックの香りが漂う暗い廊下を進んでいく。ガタッと扉の向こうで音がする。おそるおそるドアを開けると、「ガタガタッ」という音と共に、足下を猫が駆け抜けていく。ほっとしたのも束の間、いきなり後ろから襲いかかられる。恐怖に泣き叫ぶヒロイン。こういう、ショッカー系列の映画ではありがちの演出が、CD-ROMで再現されると、絶対怖いはずだと思っていた。
子供部屋の隅にベビーベッドが置いてある。ふいに、誰もいないはずなのに、赤ん坊の泣き声がする。そして、ベッドの横のロッキングチェアがひとりでに揺れはじめ、お母さんの子守歌が聞こえてくる。絹を裂くような悲鳴を上げながら、部屋を転がるようにして飛び出すヒロイン。こんな、ゴシックホラーなシーンも、CD-ROMで見てると結構怖いはずだと思っていた。
100年前の惨劇で恨みを残して死んだ男の霊が、ヒロインの亭主に取り憑く。一見、普段と変わらない様子の亭主の様子が、徐々におかしくなってくる。鏡の前でひたすら顔を白く塗り立てている亭主。逃げ出したいのに、亭主を置いていくことが出来ず、自分の手で救い出す決意を固めるヒロイン。彼との思い出のお守り代わりのぬいぐるみと、ガラスの破片だけを武器に、戦いに赴くヒロイン。こんな、ホラーストーリーならではの、切ないシーンはCD-ROMでは、あまり見られなかった。
この「PHANTASMAGORIA」では、上に書いたようなシーンを全て見ることが出来る。いわゆるインタラクティブムービー的な作品で、実写の人物と、CGによる背景を組み合わせて、ほとんど映画のようにストーリーを追っていくだけの、構成としては、別に新しくもなんともない作品なのだけれど、画期的なのは、視点が三人称だということだ。だから、上に書いたようなシーンが実現出来る。プレイヤーは、ヒロインを操作して、ヒロインに感情移入しながらストーリーを追うことになる(プレイヤーの指示をキョーツケの姿勢で待つヒロインがマヌケで可愛い)。
ホラーは、基本的に段取りのエンターテイメントだ。観客の心の動きを考えながら、恐怖をシステマチックに積み上げていかなければ怖さは生まれてこない。しかし、一人称で見せるインタラクティブムービーでは、プレイヤーの操作次第で手順がいくらでも変わってしまうし、連続した時間の中で恐怖を積み上げていくことが難しい。CD-ROMでは、読み込みの速度が遅いこともあって、作者が考えるタイミング通りに間をコントロールすることも難しい。これまでのCD-ROM作品で、本格的なホラーストーリーが生まれなかったのも、バーチャル・リアリティにこだわった一人称の語りを中心に作られていたからだと思う。それならいっそ、三人称で見せちまえ、というのも中々乱暴な話で、それならば、映画やビデオにした方がいいんじゃないかという気もする。しかし、このCD-ROM7枚組の作品を見ていると、ストーリー的には、比較的ありがちのB級ホラーが、演出次第で新鮮に見えてくることもあるな、と思わされた。ちょっとアイテム探しが面倒だけれど、シーン毎に用意された恐がらせの演出は、夜中に一人でモニターに向かってプレイしているシチュエーションと相まって、かなり怖い思いをさせてくれる。
かつて、奇術ショーを行っていた劇場(エジプト・シアター)とひと続きになった館に住み始めた若い夫婦。その奥さんは夜ごと悪夢にさいなまれる。この館に慣れない彼女は、あちこちを見て回っているうちに、祭壇を発見する。そこにあった筺を何の気なしに開けたとき、この館でかつて起こった事件の呪いが、彼女の夫に取り憑いた。100年前に起こった、一大奇術ショー「ファンタスマゴリア・ショー」での惨劇。じわじわとサスペンスを高めていくのに、部屋を一つづつ覗くという行為が有効に機能する。そして、B級ホラーに欠かせない、おびえつつも戦う金髪の美女(ちょっと安っぽい感じが魅力)。背景のCGは時々ちゃちな部分もあるけれど、ストーリー展開が、ビックリ箱的な恐怖と、精神的に追いつめる恐怖のバランスが良く飽きさせない。つくづくホラーって段取りのエンターテイメントだなと思う。CD-ROMとホラーって結構相性がいいと思うんだけど、どうでしょうね。
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PLANETARY TAXI
販売元:ボイジャー
定価:5500円
対応機種:Macintosh
●PLANETARY TAXI
ボイジャーのVisual Almanacシリーズの一つで、天文学を日常生活に絡めて学べるように作られたCD-ROM。プレイヤーは、太陽とその十の惑星(水金地火木土天海冥)の間を走るタクシーの運転手になる。まずは、トレーニングモードで、運転手になるための基礎を学ぶ。ここでは、惑星間の距離や大きさを、日常生活に例えて学ぶようになっている。無事運転手になると、客の言葉から行き先を推理して、その客の望む惑星に連れていく。ゲームをしながら太陽系の概念を知らず知らずの内に肌で感じ、学習できるように工夫されているのだ。日本語版が出て欲しいCD-ROM。
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Primal RAGE
販売元:Time Warner
定価:輸入盤
対応機種:DOS/V
●Primal RAGE
格闘技とケンカは、根本的に違う。また、観客がいる格闘技と、観客を必要としない格闘技も、また別のものだ。ケンカは、極端に言えば、相手を殺すことが目的だったりする。ま、そこまでいかなくても、相手をきちんと叩きのめさないと、後々後悔することになる。格闘技は、習い覚えた技と鍛えた肉体を、最大限に使って、相手と戦い、ルールに乗っ取った勝敗が判定されるものだ。
例えばバーチャファイターは格闘技ゲームだ。しかも、ゲーセンで発展したために、必然的に、見せる格闘技として発展し、美しく勝つことも要求されるようになった。個性的な戦い方も必要となった。日本の格闘ゲームのほとんどは、スタイルこそ違え、このような、フェアな技の応酬による、格闘技ゲームである。武士道のお国柄ってことだろうか。多分、ヨーロッパも同じじゃないだろうか。騎士道のお国柄ってことで。
で、このアメリカ製CD-ROM「PRIMAL RAGE」である。究極の激闘とでも訳しましょうか。巨大隕石の衝突により、廃墟と化した地球に、かつて地球上の支配者だった恐竜たちが甦った。そして、原始に戻った地球上で、地上の覇者を決める戦いが始まった。というようなストーリーなんだけど、ゲームは一対一の格闘戦。恐竜を選び、地球のそれぞれのエリアを支配している恐竜や怪物を相手に戦って、地球上を支配するというものだ。3Dで作られた恐竜は、なかなかの出来で、それぞれの身体にあった必殺技もよく考えられている。だから、格闘も、なんだか妙にリアルで、直線的な戦いしか出来ない(奥行きの移動は出来ない)けれど、恐竜同士の激しい戦いを再現してくれる。
しかし、この「恐竜同士の戦い」というところがミソである。人間同士ではないのである。そこには、習い覚えた技もなければ、戦いのルールもない。必然的に、技も、ひっ掻く、噛み付く、シッポで殴る、火を吹くなどの、美しくはない、どちらかといえば殺伐としたものになっている。そして何より、このゲームのウリは、戦いにおける流血などの、スプラッターな表現だ。何せ、体力を回復させるために、そこらをウロウロしてる人間を食うんだから物凄い。しかも、相手の首筋に噛み付けば、ドバッと血が飛び散り、戦いは相手が死ぬまで続けられる。体力ゲージが0になると、ドピュッとゲージに血が貼り付く。オプションの設定で、ゲームの難易度だけでなく、過激度も設定できるという怪作なのだ。
これで遊んでいると、そのエゲツない描写にヤな気分になりながらも、つい、相手の首筋を咬んで振り回すような、過激な攻撃を多用してしまう。妙に血の気が多くなって、その残虐描写にのめりこんで、「ガオー」と叫びながら、相手の血を見て興奮する状態になっていく。そうならないとやってられないし、ちょっと気を抜くとこっちが血ダルマにされてしまう。負けないために、人間もバリバリ食う。二人プレイで遊んでると、その疲労度はバーチャの比ではない。全身にイヤな汗をかく。これは格闘ゲームではない。
ホント、病んでると思う。それは、流血がイヤだ、とか、人間を食うのがモラルとして許せないとか、そういうレベルではない。アメリカのプロレスを見てても思うのだけど、日本とは根本的に違う何かがある。日本人は、自分がどう勝つかに重点を置くが、アメリカ人は、相手がどんな目に遭うかが重要なのではないだろうか。より過激に血を流させるために、首筋を狙って噛み付く。この攻撃がこのゲームでは、やはり最高の攻撃なのだ。もちろん相手に与えるダメージも大きい。生存競争の戦いは厳しいモノだ、というレベルを越えて、血を見ると興奮する、という原初に立ち返る。
人に見せたくない姿だろうな、このゲームしてる時。だから、観客がいる戦いでは決してない。そして、何かをきわめるゲームでもない。マニュアルには、それぞれのキャラクターの背景が詳しく書かれていて、まるで、それらの登場人物に感情移入せよ、と言ってるようだ。これ以上感情移入してどーしよーっていうんだろう。うっかり燃えてしまうことで、ドッと疲れるゲームというのも珍しいから、一度はやってみるのもいいかも。でも、やっぱ、これってフツーじゃねえ。アメリカ人ってホントにこういうのが好きなの?
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PRINCE INTERACTIVE
販売元:シナジーワークス
定価:5300円
対応機種:HYBRID仕様
●PRINCE INTERACTIVE
プリンスの方向性を反映してか、ねじくれた作りのCD-ROM。完全収録された6つの曲(そのうち3曲はアルバム未収録)、4曲分のビデオ(完全収録)、52の曲の断片、31のビデオの断片と、ディスコグラフィ、発売された全アルバムのジャケット写真などの、プリンスに関するデータ及び楽曲が収録されたCD-ROMなのだが、それらの情報にアクセスするために、変な館をうろつき回って、謎を解いていかなければならない。まあ、謎と言うほど大したものじゃないけど、単なるクリック&激Xポンスになることを避ける工夫がしてある。プリンスくさーい作品。日本語解説書&ヒント集が付くようになり、英語が苦手の人でも楽しく遊べる。
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サイコトロン
販売元:ナムコ
定価:8800円
対応機種:Macintosh
●サイコトロン
冷戦後のアメリカで、一番困っているのは、実はハリウッドかもしれない。ハリウッド得意の活劇は、例えばナチス、例えばソ連と、仮想敵国があってこそ、ヒーローが活躍し派手なアクションシーンが炸裂するサスペンス映画にリアリティを持たせることが出来る。おかげさまで、最近では日本が仮想敵国なんだよなー。スケール小さいよね、しょせん経済戦争だもん。巨大な敵は、エンターテイメントには欠かせない要素。敵の不在はSFや時代劇ばかりはびこらせることになるし、タランティーノみたいな、小競り合いを中心に据えたギャングものの小品佳作が増えることにもなる。
しかしやはり国家単位での陰謀と、その阻止というテーマは魅力的だ。そこで、この「サイコトロン」は、無理矢理共産主義の脅威を中心に据えてしまったのだろう。それはそれで、僕は個人的には好きだな。フィクションはホラ話なんだから、デカイ方が楽しい。この「サイコトロン」のストーリーは、リアリティはともかくも、ホラのスケールとしては相当デカイ。何せ、一介の捜査員が、マジで世界レベルの陰謀を阻止してしまうのだから。
タイトルになっている「サイコトロン」は、ロシア製の洗脳装置。CIAは、その装置をロシア経済救済の目的で購入、それを空輸している途中で事故に遭う。その事故現場から発明者の博士と一人のCIA局員、そして「サイコトロン」が消えていた。この事件を調査し、サイコトロンを見つけだすのがプレイヤーの任務だ。
調査は、まず事件に関係したCIA局員の部屋での手がかり探しから始まる。4人のCIAメンバー中3人が死亡、一人が失踪している。この最初の調査で、いきなりラストに関わる重大なものが見つかるので、最初から気は抜けない。続いて、捜査は事故で死んだCIAのメンバーの葬儀での聞き込み。遺族やマスコミに話を聞いて手がかりを集める。このゲームはこの部屋の探索と、登場人物との会話で事件を調査する。特に、会話は重要で、上手に聞き出さないと怒られたり、別の話になっちゃったり、相手が悪いと殺されることもある。会話は、相手に会わせて、いくつかの選択枝の中から選ぶのだけれど、ここで例え間違った質問をしたとしても、殺されない限りはそのままゲームは続いていく。つまり、間違った会話をすると事件の全貌がわからないままにストーリーが進んでいくのだ。
ゲームは4人まで遊ぶことが出来るようになっている。四人のプレイヤーがそれぞれに調査し、その中で最も適切な調査をしたプレイヤーだけが最後のステージに行くことが出来るという構成。部屋の調査は誰でも同じように進められるから、問題は会話だ。うまく情報を引き出せた人だけが、事件を解決するヒーローになれる。このスタイルは中々面白い。実際一人で遊ぶと、多少質問を間違えても最後までやれば何となく犯人やその背後にある陰謀を読みとれてしまうので、いまいち緊迫感に欠ける。複数の人間で遊べば、調査能力がよりシビアに問われることになるから面白い。
もちろん、一人で遊んでても、一言受け答えを間違えると殺されるマフィア相手のポーカーのシーンなど、かなりハラハラドキドキの部分もあるから大丈夫。実際、このポーカーのシーンは良くできていて、本格的な5カードのスタッドポーカー(一枚だけ伏せて配られ、二枚目以降は開いて配られる。一枚配られるごとに、賭けるか降りるかを決める)で、自分の手や相手の機嫌などをうかがいつつ、賭けたり降りたりを決めなければならない。大事なのはポーカーに勝つことではなく、情報を引き出すこと。ここは頭使うよ。
最後には、それまでの調査から導き出された事件の全貌を報告しなければならない。適切な調査をしていれば、あとは推理で事件を解決することが出来るが、あいまいな点を残しているとクリア出来ない。実はこのゲーム、スパイ活劇のようだが、本格派の推理アドベンチャーなのだ。そして暴かれる、ほとんどムチャクチャとも思われる陰謀。なんか、大昔のサイレント映画みたいなストーリーだけど、リアリズムに足を取られて小さくまとまっちゃうよりも、ずっと気持ちいい。
あと、米大統領の声をハマコーこと浜田幸一氏が吹き替えしているのが、意外とハマり役だ。特にラストシーンでの熱演は必見。
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パソコン創世記
販売元:ボイジャー
価格:4000円
対応機種:Macintosh
●パソコン創世記
エキスパンド・ブック・ツールキットのバージョン2による最初のエキスパンドブックが、この「パソコン創世記」だ。これまでの、ハイパーカードを利用した形式ではなく、独自に開発されたエンジンを搭載し、付属のビューワーを使ってブックを読み込む形式になっている。もちろん、縦書き表示でフォントにはアンチエリアシングがかかっているため、モニター上でも読みやすい。この「パソコン創世記」は、単行本二冊、400字詰め原稿用紙で約1600枚のテキストが収録されているが、それほどの苦もなく読んでいくことが出来た。
「パソコン創世記」は、著者富田倫生氏の二冊の著作を中心に構成されている。第一部として収録されているのが、1984年に出された旺文社文庫版「パソコン創世記」。この本はパソコンという市場がいかにして立ち上がったのかを、時代の流れと共にレポートしたもので、アメリカのヒッピー文化だけではなく、日本での風俗、思想の流れとパソコンの歴史を、うまく重ね合わせることに成功している。第二部として収録されているのが、TBSブリタニカから1994年に刊行されたもので、パソコン文化の始まりからウィンドウズの登場までを、多くの関係者の談話をもとに、詳細にレポートしたもの。NECの98が大きなマーケットを獲得するまでの苦闘や、その影で消えていった純日本製のGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)マシン開発の物語など、個人が使うコンピューターが、どのように一般化し、どのような苦労がその裏で行われていたかが、分かりやすくまとめられている。
エキスパンド・ブックの機能を利用して、沢山の資料写真(AppleIの基盤や、マイコンキットTK-80など)や、ムービーによるインタビュー映像、雑誌広告などの参考資料が、本文に合わせてその都度参照できるようになっているため、比較的堅い専門的な内容ながら、スムーズに読み進めることが出来るようになっている。
ページの下に薄くひいてある写真などが切り替わる時にページめくりが極端に遅くなるのがネックだが、コンピューター上で読む本として、これまでにないクオリティを持ったものに仕上がっていると思う。これから続々と登場するであろう、エキスパンド・ブックに期待したい。
五十音別索引
アルファベット索引
パッパ、パレードに行く
販売元:メディアビジョン
定価:8800円
対応機種:Macintosh
●パッパ、パレードに行く
3歳から7歳向けのアドベンチャーゲーム。擬人化した車の子供が、車のパレードに出るために頑張るというストーリー。バイトをしてお金を稼ぎ、風船とペットを手に入れ(パレードの参加条件)、綺麗に洗車してパレードに参加するまでを、簡単なアドベンチャーゲームに仕立てている。各場面のクリックポイントでは、リアルタイムにアイテムが反応して、複数のイベントが同時に発生する。この反応の良さは子供を惹きつける魅力充分。小さなゲームも収録されている。またオマケとしてフリスビー、クレヨン、鉛筆、塗り絵もできるお楽しみハンドブックも付いている。
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アルファベット索引
パラダイスレスキュー
販売元:トンキンハウス
価格:6800円
対応機種:Macintosh
●パラダイスレスキュー
NHKの「ひとりでできるもん」のタイトルバックなど、3DCGによるアニメーションを多数世に送り出している松浦季里による、フルCGアドベンチャーゲームが、この「パラダイスレスキュー」だ。ストーリーは、いくつかのミニゲームをクリアすることで進むけれど、どのゲームもクリア出来ずにイライラすることなく作られているから、安心して彼女の世界で遊ぶことが出来る。
病気の恋人を救うため、彼女の体内へ赴く主人公。そこで見たのは、ポムルと呼ばれる不思議な世界。「ぽもぽも」と「ニュニュニュ」の案内で、その世界を旅し、彼女の命を救う方法を発見しなければならない、というストーリー。なんとなく、スティーブン・キングとピーター・ストラウブの共作によるファンタジー大作「タリスマン」を思わせるけれど、この作品は、一口でファンタジーと呼ぶには、あまりにも多くの要素を含んでいる。10代から30代の女性に見て欲しい、と作者が述べているように、一見子供向きの夢のような世界だけれど、そこには、松浦季里の、成熟した女性としての感覚が、妙にリアルに表現されている。そのあたりの微妙な部分は、実際にこの作品に触れて確認して欲しい。
五十音別索引
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ピースランド
販売元:BNN
価格:12800円
対応機種:Macintosh
●ピースランド
絵本作家、高畠純氏の原作をCD-ROMの絵本にした作品。どこかにゆったりと浮かぶ島ピースランドを舞台に、プレイヤーであるウサギや、寝坊すけのニワトリ、床屋のライオン、ピアノを聴かせてくれるペンギンなどが繰り広げる、さりげない、でも楽しい小さなイベントや物語を楽しむ。1ページが一つのストーリーになっていて、女性の優しい声でナレーションが入っている。シンプルなイラストと音楽に乗せて、のんびりと、歩くようなテンポで、島で待つイベントを眺めていくのが似合う、そんな作品だ。作りも丁寧で、子どもと一緒に楽しめるのが魅力だ。
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ピーターと狼
販売元:オラシオン
価格:14800
対応機種:Macintosh、Windows
●ピーターと狼
ロシアの作曲家プロコフィエフが、子供たちにオーケストラを楽しく学んでもらうために書いた「ピーターと狼」。オーケストラの楽器を使ってキャラクター付けし物語を展開させるスタイルのこの曲を、絵本、ピアノ譜、オーケストラスコア、CD-ROMのセットであらゆる角度から楽しめるようにしている。付属の絵本と同じ絵が動くアニメーションによる、ストーリーシーン、解説コーナーなどと共に、CD-ROMには、全曲のMIDIデータや、CDDAのデータも収録されていて、普通のCDプレーヤーで聞いたり、MIDI楽器を鳴らすことまで出来る。正にマルチメディアな作品。
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ファンタスマゴリア
販売元:東芝EMI
定価:8800円
対応機種:Macintosh、Windows
●ファンタスマゴリア
ついにファンタズマゴリア星に遊びに行けるようになった。科学の進歩はたいしたもんだ。たむらしげるという人が、ドクター・フープと一緒に調査した新しい惑星だそうだ。惑星は地球と同じ周期で自転し、公転しているらしく四季があり、また、不思議な現象が数多く起こっているという。とにかく旅支度をして、出発してみよう。何か面白そうじゃない。パンフレットにある風景の写真は、不思議と魅きつけられるものがあるしね。
星を歩くんだったら、やはりBGMはバージンVSの乗り物デラックスか羊が丘デパートメントストアを選びたい。ウォークマンにテープを突っ込んで、出来るだけ軽装備で、まあ、お気に入りの酒やコーヒーをフラスコに入れてポケットに忍ばせるのは悪くない。ガイドブックはしっかりと持って行こう。なんたって知らない星だから。
のんびり一人旅もいいけど、出来れば、いつも一緒に歩いてる人と、一緒にこの星を歩ければもっといい。奥さんでも連れていこう。エスコートのためには、ガイドブックを見て予習するのが大事だ。うーん、やっぱ、シューティング・スターヒルの大流星群は是非見たい。あとはプラネタリウムのオーロラショー。本屋と映画館は絶対外せない。なんたって、知らない町の本屋は変な本を見つけるのに最適だし、映画館を素通りするわけにはいかないじゃない。ニュースもここでやるようだから、星のイベントをチェック出来るだろうし。
サンタクロース村は時期外れだな。また、クリスマスが近づいたら、行ってみよう。今回は見送りだ。個人的には、ナイトクラビングもやりたいから、クリスタルシティーの酒場は要チェックだな。奥さんはホテルでお休みだろうし、こういうとこは一人で行かなきゃね。「惑星中の情報が集まる水晶でできた都市」って書いてある。魅力だなあ。まず、ここに行く方がいいか。
クリスタルシティーは、人で賑わっている。最初ちょっと寄った時は、まだ時間が早かったみたいで、水で出来た男が一人で飲んでいた。邪魔したら悪いから、少し近所を回ってから、もう一度酒場を訪れる。ワイワイガヤガヤと沢山の人が楽しんでいる。なになに?この店の酒はSOAPだって、密造酒?何か危ないんじゃないだろうな。ムーンシャインビレッジで作られてるという、幻覚作用がある酒のことか?こういうのって、どこに行ってもあるよね。バリのマジックマッシュルームとか。僕は脳内麻薬の人だから関係ないけど。
映画館に行くと(隣には本屋がある。至れり尽くせりだなあ。本屋ではたむらしげるの作品リストを見ることが出来た)、ニュースをやっていた。それによると、何と流星群の到来が近づいてるというじゃないの。ラッキー。是非見ないと。いつなのかなあ。今回はそんなに長居は出来ないし、また来たからって、いつでも見られるものじゃない。とにかくシューティング・スターヒルに行こう。幸いこの近くだ。ホテルは辺境ホテルでいいか。さすが、このへんは観光地なんだな。巨大電球とか時の砂漠も近くにある。
シューティング・スターヒルは、星が丘にささってて、不思議な所だ。そこに立ってるオヤジが何か言いたそうなんで、話を聞いてみたら、「星は明日きっと降る」と言う。明日か。一度家に戻って、時計を進めちゃうという荒技も出来ないわけじゃないけど、今日の所はのんびりと、他を回っておとなしく寝よう。明日は流星ショーだ。
銀河ステーションから、月に行ってみよう。ドクター・フープの研究所があるらしい。行ってみるとドクターは留守だった。勝手に彼が書いたこの星の博物図鑑を見せてもらう。まだまだ謎は多い星なんだなあ。月では、星を作ってる鍛冶屋さんがいた。そういえば、虹で絵の具を作ってる人たちもいたな。プラネタリウムで星空を投影してたし、何か妙に科学に頼ってるような、それが自然のような、不思議な星だ。でも、しっかりと、みんな生活してる。僕は単なる旅行者だから、この星に何の干渉も出来ない。ただ見てる。その時間のうねりが心地いい。時々記念のビデオは撮るけど。そして、世界はゆっくりと動き、観光客はそれぞれの物語を抱いて、また自分の世界に帰る。
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ポーク・リトル・アーティスト
販売元:トワイライトエクスプレス
定価:4800円
対応機種:HYBRID仕様
●ポーク・リトル・アーティスト
猿のポークとともに、ぬり絵をしたり、簡単なパズルを解いたりしながら、色々な勉強が出来る、インタラクティブ・エデュテイメントCD-ROMだ。ソフトの使い方を、英語と日本語のナレーションでていねいに説明してくれるので、小さな子供でも一人で使って遊べるようになっている。ナレーションを英語モードにして、ネイティブな発音に親しんだりすることも出来るので、少し大きくなった子供でも充分に使える。マルチメディアを体験しながら勉強もできる、という狙いだ。派手な作品ではないが、価格も手ごろだし、作り自体は悪くないCD-ROMだ。
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