UMEZUMA
販売元:小学館
定価:7900円
動作環境:HYBRID仕様
楳図かずおの絵は怖い。ホラー映画が好きで、ホラー小説も好きな私が、なるべくなら読まないでおきたい、と思うほど、あの絵は怖い。楳図かずおと日野日出志は、本を部屋に置いておくのも嫌なくらい怖い。しかし、結局は読んでしまうのが、また怖い。
このCD-ROMは、完全にマンガのコマそのままのシーンと、背景を3Dで描いたシーンが両方使われている。そして、セリフは吹き出しに文字(あの楳図流毛の生えた文字も当然使われている)が表示されるマンガのスタイルだ。基本的には、マンガのコマがカット割りの役目を果たす感じで、スライドショー的に物語を読み進める構成になっている。そのため、本来の絵の怖さも感じられるし、それとは別の、例えば、目からハサミが飛び出すシーンなどの動きによる怖さや、おもわせぶりなカットの後、不意に現れる化け物といった映画的な恐怖も表現されている。時折入るインタラクティブ・シーンも、夜道を歩く恐怖や、引出しを開けるとそこに!といった恐怖をうまく表現している。マンガをCD-ROMにするにあたって、様々な試行錯誤が行われ、結構成功していると思う。シーンによっては、マンガでは大して怖くなかった部分が、やけに怖かったりもする。
そういうCD-ROMにするにあたっての工夫が、マンガが持つ怖さを殺してしまった部分があるのも確かだ。でも、とにかく絵が怖い楳図マンガとは別の恐怖を作り出せただけでも、凄いことだと思う。
(納富廉邦)
(MediaDirect CD-ROM MAGAZINE 1996.03)
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