アンク ピラミッドの謎


 販売元:株式会社レイ
  定価:9800円(税別)
動作環境:Mac, Win3.1, Win95



 謎に包まれたクフ王のピラミッドに導かれ、カイロに旅立つプレイヤー。ゲームはホテルの一室から始まり、カイロの街でアイテムを集め、ピラミッドの内部を探索、そして幾多の試練を経て、最後の審判を受けることになる。
 エジプト考古学者吉村作治先生が、企画、原作、製作総指揮を務め、ゲーム中も、様々なアドバイスをしてくれる。基本的には、アドベンチャーゲームを楽しみながらピラミッドへの理解を深めようという意図の元に作られているため、途中でゲームオーバーになったりすることなく、失敗しても、何度でも繰り返していれば、きちんと最後までたどり着くようになっている。落とし穴などに落ちても、ちゃんと這い上がれるから安心だ。
 カイロの街では、カイロ博物館を再現し、遺跡や伝説を細かく説明してくれるなど、情報が詰め込まれた構成になっていて、どちらかというとストーリーよりも、こちらの方が主になっている。
 情報やアイテムを集めていると、ストーリーはどんどん進み、さまよえる魂の救済や、墓荒らしとの対決など、クフ王を巡る、現実と非現実が交叉する物語が展開され、ゲームの後半では、エジプトの謎を元にしたパズルが、ふんだんに使われている。
 画面は一人称のインタラクティブ・ムービー・タイプ。クリックするポイントでは、カーソルが変化するので分かりやすい。小型のコンピュータを呼び出して、吉村作治先生のメッセージを受けたり、アイテムを利用するようになっているのだが、その使用のタイミングがやや分かりにくいのが残念だ。また、セーブ出来るポイントが限られているのも辛い。
 カイロの街の実写による表現は、怪しげな街の様子や、そこに住む人々などをリアルに感じさせてくれる。ただ、背景と、セリフを喋る人物の合成が、ちょっと取って付けたような印象を受ける。ピラミッドの中は、3DCGのシンプルな迷路になっている。さほどCGには凝っていないのだけれど、ゲームとして充分な出来になっていると思う。
 吉村先生の指導によりリアルに再現されたピラミッド内部と、様々な情報や霊が飛び交うカイロの街をさまようだけでも面白いが、そこに膨大な資料を元にした情報が詰め込まれていて、エデュテーメントとして、よく練られている。このような作品こそ、小学生くらいの子供に遊ばせると良いと思う。出来れば字幕を総ルビにしてもらえると、良かった。
 前半のインタラクティブ・ムービー風の展開と、後半のパズルゲーム的展開のバランスも悪くない。あとは、博物館の資料などにいつでもアクセス出来るようにしてあれば、もっとピラミッドの中が楽しめたと思う。
 余談だが、このCD-ROMを発売した株式会社レイの鈴木晴美嬢が、綺麗で私は凄くファンだ。ホント、いいよ、ちょっとしか話したことないけどさ。
(納富廉邦)
(MacWorldJapan 1996.04))

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