マルチメディア人体


 販売元:NECインターチャネル
  定価:15800円(税別)
動作環境:Mac, Win3.1, Win95



 レオナルド・ダ・ヴィンチというのは、やたらとマルチメディアものに顔を出す人だ。しかも、いつもじいさんとして登場する。この「マルチメディア人体」でも、プレイヤーの師匠として、しかも変な病原菌に侵されて死にそうになっている。それにしては、ヘルプ画面では、元気そうに歩き回って、色々と説明してくれるし、「こんな話を知っているかな?」などと言いながら、人体に関するウンチクを、頼みもしないのに聞かせてくれる(このCD-ROMは操作をせずにほっとくと、次々にウンチクが語られていく)。

 そう、このCD-ROMは、人体を、解剖学的な見地からも、芸術的見地からも探求したレオナルド・ダ・ヴィンチ をシンボルにして、人体のことをじっくりと勉強していこう、という作品なのだ。画面も中々固い感じだが、このCD-ROMの元になっているのが、NHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体」というテレビシリーズのドキュメンタリー教養番組なのだ。さすが、NHKと思わせる質の高いCGや映像がたっぷり収録されている。二枚組の構成になっていて、一枚は「ダ・ヴィンチの書」という、人体に関する映像百科的なもの。もう一枚が「ダ・ヴィンチを救え」という、ゲームを通して、人体を学んでいこうというもの。
 一応、小学生から中学生あたりをターゲットにしているようだけど、大人もこれで一回、自分の身体のことを考え直してみるのも良いかも知れない。ちゃんと、生殖器や授精なんかもきちんとフォローされているし、脳から感覚受容器なんてつながりや、染色体、ミトコンドリアなどのミクロの世界から、骨格や筋肉などまで、正にダ・ヴィンチなみの細かさで収録されている。
 収録データを好きに並べ替えて、自分なりの研究発表が出来る機能も付いていて、これ一つで夏休みの宿題もOKだ。全ての解説がムービーとテキストの両方で行われる上に、関連項目にいくらでもジャンプ出来るので、興味の赴くまま人体の神秘を探検できる。

 ゲーム「ダ・ヴィンチを救え」は、人体に関する知識を使うアドベンチャーゲーム。体調を維持しながら航海するゲームや、心拍数などをうまくコントロールしながら危険地帯を走り抜けるゲーム、村人の身体検査をして病名を当てるゲーム(難しい)、消化管や血管の中を通って、ウィルスを捕獲するゲームなど、五つのゲームをクリアし、師匠ダ・ヴィンチを救うワクチンを作らなければならない。ゲーム中、「ダ・ヴィンチの書」を参照できるが、実際、ゲームはやけに難しくて、「ダ・ヴィンチの書」無しでは、大人でもクリアは難しい。いやはや、ゲームというより、やっぱ、これって勉強だな。だからこそ面白いんだけど。
(納富廉邦
(CD-ROM Fan 1996.04)

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