猫のダヤン
販売元:GLAMS
定価:3800円
動作環境:PhotoCD
動物と魔法と不思議と伝説で出来ているような国わちふぃーるどに、魔法で連れてこられてしまった猫のダヤン。しかし、基本的に気楽な猫であるダヤンは、わちふぃーるどの中心街タシルの街で、のんきな暮らしを楽しんでいる。しかも、マイペースの彼は、この風変わりな国で「変わり者」とさえ呼ばれているらしい。そんな猫のダヤンが遭遇する、タシルの街の出来事と、わちふぃーるどの観光スポットを紹介する、絵本CD-ROMが、この「猫のダヤン」だ。
この作品はフォトCDポートフォリオで作られている。フォトCDだからといって、何も写真でなければならないということはないのだ。この作品のように、絵と文章と音楽で、物語を語ることも出来る。このフォーマットで作ると、Macintoshはもとより、Windowsマシン、3DO REALや、セガ・サターンでも再生できて、観客層がぐっと広がる。しかも、この作品3800円とお買い得な値段設定。電子出版としては効果的なタイトルになっている。
わちふぃーるどのそれぞれのスポット、例えば恐竜がのし歩く絶滅動物最後の楽園トレジャーバレーや、廃墟となった魔王の城など、タシルの街の冒険家たちが目指すスポットが絵とテキストで紹介されるわちふぃーるどのパートと、タシルの街での、ダヤンやその友達が遭遇する不思議な物語の二部構成。一続きの物語ではないが、このような語り方の方がフォトCDポートフォリオの性質に合っている。
タシルの街では、ワニのイワン、郵便局長のコウノトリのシュービルさんとその部下のアライグマ、ちょっと怪しい酒場のオーナー、馬のハンサム・ハビーなどの、様々なキャラクターたちが描かれ、ダヤンとの交流や出来事がオムニバス形式で語られる。中でも博物館で起こる怖い出来事で幕を開けるストーリーは秀逸。テキストを、フォントの大きさや、文字を出すタイミングなどで上手く見せていく手法も効果的だ。
バロック風の音楽にのせて、剣と魔法のファンタジーのような世界の中で、何故かのんきに暮らす猫のダヤンという対比が魅力的だ。ヨーロッパの絵本のような絵で、比較的好き嫌いがなさそうな感じなのも、この淡々とした世界を描くのに合っていて、見ていて飽きない。ちょっとしたプレゼントにも使える作品だ。
(納富廉邦)
(MacWorldJapan 1996.01)
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