殺意の証明


 販売元:INTERPROG
  定価:9800円(Mac,Win共)
動作環境:Mac, Win3.1, Win95



 アメリカの裁判は、陪審員制で行われている。一般の人の中から選ばれた陪審員が裁判を傍聴し、協議して公判が行われるのだが、そのせいか、アメリカの裁判は、検察側と弁護側によるディベート合戦のような、まるで一種のショーのような形になることが多いようだ。しかも、確実に有罪であっても、それを心情的に訴えることで無罪を勝ちとったり、陪審員の人種によって公判内容が変わったりと、中々難しい。しかし、その難しさが、外から見れば面白さにもなる。そのため法廷をドラマにした映画が数多く作られたりもしているわけだ。そのような、法廷の面白さ、難しさをそのままゲームにしたのが、この「殺意の証明」だ。

 有名アーティストが、画廊の共同経営者であり友人でもある男を殺害する。犯人は殺害を認め、しかし、正当防衛だったと主張する。プレイヤーは検事補となり、その事件の関係者に会い、資料を調べ、この事件が、謀殺であること、明らかに殺意を持って行われたことを証明し、被告人を第一級殺人罪で有罪にしなければならない。
 事件は、有名人が起こした殺人ということで、世間の注目を浴び、テレビは裁判の様子を逐一報道する。また、証人が、被告の恋人、被告の元部下、そして被害者の妻と、限られている上に、様々な個人の思惑が絡み、どの証人も一筋縄ではいかない。また、殺人の少し前に起こった画廊での絵画盗難事件と、被告の恋人を巡る被害者と被告の三角関係が、殺人事件に微妙な影を落とし、事件そのものも、表面に見えているほど単純なものではない。

 そんな中、プレイヤーは、資料や事前になされた証人へのインタビューのビデオなどを見て事件の全容を把握し、それらの知識を元に、証人たちを、おどしたり、なだめたりしながら、自分に協力してくれるように要請し、隠された事実を証言してもらわなければならない。この事前の調査で、うまく証人から証言を引き出せるかどうかが、裁判になった時に大きく物を言う。質問はやり直せないし、一度証人を怒らせたら、もう取り返しがつかない。調査は慎重に行わなければならない。
 裁判でも、相手のやり手弁護士の鋭い追求をかわしながら、証人をどの順序で呼び、どのような質問をするかで、証人の証言も変わってくるし(これがまた、すぐにウソついたり、感情に走ったりして大変)、陪審の印象にも影響する。このへんかなり良くできていて、ちょっとのミスも命取りになる。多分、一度で第一級殺人に問うのは、かなり難しいと思う。しかし、法廷シミュレーションとしても、アドベンチャーゲームとしても実に良くできているため、何度でも、第一級殺人を目指して、遊ぶことが出来る。
(納富廉邦)
(CD-ROM Fan 1996.06)

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