97.4.01-4.15

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1997.05.16

 楽器を演奏するということが、ときどき、自分の指先から音を発しているような錯覚を招くことがある。ギターやピアノのように、自分で弦を弾いたり叩いたりして音を出す場合は、その指先と、音を出す弦が直接結びついているから、そういう感覚もあながち間違いとは言えないけれど、これがMIDI音源のキーボードでも感じることがあるから困ったものだ。あからさまに錯覚である。でも、文章を書くときに、キーボードを叩いて書いていると、指先から直で言葉が紡がれていくような気もするので、こういう錯覚は、それはそれで単なる錯覚ではないのかもしれないとも思う。デジタルは冷たい、という方が錯覚であるように、指先から何かが直接作られることがあってもいいんだろうな。こういう感覚は、絵を描く人にもあるだろうけど、文章を書く人にもある、というのは、意外と知られていない事実かもしれない。


1997.5.17

 分厚いガラスの灰皿が、いきなり目の前で割れた。消し損ないのタバコの火が中でこもって高熱になって、割れたようだ。1センチ以上あるガラスだったから驚いた。タバコの消し忘れには注意しよう(お、初めての教訓だ。でも、ホントに怖かったんだよ)。で、その日にちょうど買っていたゴールデンバット缶灰皿付きが、いきなり役に立ったのでした。


1997.05.18

 ちょっと前に、オークラ出版の「インターネットXファイル」という本に書いた原稿を再掲。結構、面白いと思うんだけど、あんまり売れてないみたいでもったいないから。

獣姦について

 ペットを凄く可愛がる人がいる。それはそれでもちろん構わないのだけど、基本的なコミュニケーションはスキンシップだし、撫でてさすってキスして、うーん、もうあと一歩ではないかいな、とか思う事がある。
 もちろん、獣姦、という言葉の響きには、何となく、人とのSEXの代替行為という感じが多く含まれてるような気がするけど、私は、そういう趣味がない以上、獣姦者の気持ちを理解することができないから勝手に考えた、納得するための理屈でしかない。
 実際、獣姦(というから何か妙なイメージを持つのかもしれない、Zoophiliaと呼ぶのはどうだろう)のFAQや、動物のホームページのリンクを集めた「The Ultimate Zoo Page!」を見ていると、もはやこれは「愛」と呼ぶべきなのではないか、という気がしてくるから不思議だ。例えば、メス犬とのセックスのやり方、という項目があって、これが、非常に詳細かつマジメかつ行き届いている。「メス犬が初めて交尾をするのは、生後9ヶ月から15ヶ月の間」とか書いてあって、幼児虐待(?)というか淫行というか、そういう事が無いように正しい知識を教えてくれたり、「シェパードのメス犬は人間のサイズでもOK、大型犬はたいていOK」というような貴重な情報も書き込まれている。さらに、犬との性行為のために用意する物、使ってはいけないもの(潤滑油、石油はダメ、KYゼリーやラテックスの手袋などは用意するようにとのこと)や、性病に関する知識など、きちんとした情報が書かれているのだ。ねえ、これって「愛」じゃない?ツメは切っておくこと、とか、発情期でないメス犬とすることはススメない、とか、発情期のサイクルとか、その時の見分け方とか、きちんと前戯をする方が犬も喜ぶ、とか、本当に、女性相手のHow To Sexばりに、事細かに愛情豊かに、犬とのセックスについて説明してくれるのだ。
 もちろん、犬とのやり方ばかりではない。水中哺乳類(クジラとかイルカとかね、これが結構ズーフィリアの方々には人気が高いらしい)や、小型の馬(やっぱ普通のサイズでは無理か)などについても、詳しい解説があるし、オスと女性とのセックスに関しても、しっかり差別することなく、解説されている。犬にフェラチオすると、ちゃんと犬も喜ぶ、なんて、普通知らない、でも何か心温まる情報も手に入るのだ。
 また、「ズーフィリアと法律」という項目もあって、果たして自分が行っている行為が犯罪なのか、という、最も気になる点も、どのようにして調べればよいのか(場所によって法律が違うからね)、実際の例はどのようになっているのか、など、痒いところに手が届く充実した解説で安心だ(何が?)。
 そして、ここに用意されたリンクリストは、全て、セックスとは無関係の、動物たちの姿が見られる、情報を得られるページへのリンクばかりだ。ここから、あらゆる動物たちのホームページに行くことが出来る。もしかすると、私たちがエロのホームページでズリネタを探すように、動物のホームページを探すのかも知れないが、それって、やっぱり愛だよね。男どもも、女性に愛があるから、エロのページを見るんだし(そうだよね、そうじゃない奴がいたら、ズーフィリアの皆さんに土下座して謝るように)。
 かつて、いくつものニワトリの写真が並んでいて、それぞれに詳細に、まるで風俗嬢のレポートのような、「この娘は、ちょっと恥ずかしがりやだけど、締まりの良さは最高」といったコメントが付けられていた、凄いホームページがあったけど、それにも「愛」がいっぱい感じられた。実際にやっている写真なんかは見つけられなかったけど、考えてみれば、そんな、他人がやってる姿なんかに興味がない、というのは、凄く健全な姿のような気がする。ねえ、人間相手のセックスって、ひょっとしたらスゲー変態かもね。


1997.05.19

 昨日に続いて、もう一本「インターネットXファイル」から再掲。今度はシリアルキラー編

 エド・ゲイン、という名前を聞いたことがあるだろうか。そう、あのトビー・フーパーの名作「悪魔のいけにえ」のモデルとなった連続殺人者である。彼は、ヒッチコックの「サイコ」のモデルにもなり、さらには死体の皮膚を身につけるという嗜好が「羊たちの沈黙」で使われているという、凄い奴で、古今のシリアルキラー・ベスト10を作れば、ピエロを演じて子供達の人気者だった裏で、33人の少年を犯して殺したジョン・ゲイシーや、300人を越える女性を締殺した、アンデスの怪物こと、ペドロ・アルマンドなどと並び、上位争いをするに違いない、というほどの、この世界のビッグネームだ。
 既に、このシリアル・キラーと呼ばれる「連続殺人者」は、「大量殺人者」とは、しっかりと区別され、幼児期の肉体的、精神的、性的虐待や、飲酒、薬物使用などを要因とする、一種の病気として捉えられている。
 でもさあ、エド・ゲインなんて、別に映画みたいにチェーンソー持って踊ってたわけじゃないとは思うけど、それにしても、墓場を暴いて、死体から皮膚をはがして身につけることから始まり、その後、殺人を繰り返し、死体をバラバラにして、皮膚でランプシェードを作ったり、頭蓋骨をスープ皿にしたり、厳格だった母親の遺体を、死後もずっと部屋に安置していたり(このへんが「サイコ」に繋がるんだけど)、そんな奴のことが理解出来るわけないじゃない。アメリカの心理学者って、何でも幼児体験とドラッグのせいにして、ある程度の要因は解明したみたいなことを言ってるし、FBIはプロファイリングとか言って、行動のサンプルを分析することで、殺人者の心理を理解できるようなことを言ってるけど、本当に分かるのか?
 モラルや宗教を考えなければカニバリズムはまだ理解できる(宗教の無い日本人だしね)けど、シリアル・キラーは、ちょっとなあ。ペドロ・アルマンドなんて、300人殺したって言ってるんだよ。300人なんて、俺が生涯に出会って、ちゃんと言葉を交わしたことのある女性全部足したって、そんな数にはならないのに、それを全部殺してるんだから、その体力も気力も持続力も想像を絶する。8歳で妹を犯して、家を追い出されたなんてエピソードは、300人殺した(しかも一人ずつ首を絞めて)、という証言の前には、全然なんてことないエピソードだ。流石は、
Internet Climb Archiveのシルアルキラー・ヒット・リストで堂々第一位にいるだけのことはある(といっても、このランキングは、殺した数で決まっているんだけど)。
 それでいて、彼らはみんな、十分以上に普通の社会生活が営めて、町の人気者だったりする奴だっている上に、警察の捜査をテレビなどの報道で聞いて、ちゃんと裏をかいたり、手口を変えたりするんだから怖い(でも、世間には、とんでもなく卑劣なことをやってるのに、本人は正しいことをやっていると思いこんでいて、しかも一部では尊敬されてたりする奴っているけど)。
 インターネットには、FBIをはじめ、指名手配のホームページが結構あるけど、シリアル・キラーは、まず、そういう所に載ることはない。だって逃げないんだもん。動機も本人にしか分からないし、被害者とはほとんどの場合無関係で、犯行後も平気でそのへんをうろついてる。逃げてないと指名手配にならないんだよね。
 部分的には分かる部分もある。衝動って結構怖いものだ。でも、根本的に理解できない(だから、つい興味持っちゃうけど)。シリアル・キラーの75%はアメリカ在住だそうで、これはもしかするとアメリカの風土病か?とか思うけど、インターネットのホームページには、
歴代シリアル・キラーのデータベースがいっぱいあるし、今月のシリアル・キラーとか言って、月替わりで紹介するページまであって、もしや、あいつら、そういうのが好きなんでは?と思うと、寒いぞ(俺もか)。


1997.05.20

 飛び降り自殺が流行りそうだ。大人も子供も。で、子供の場合は、学校でみんなの目の前で発作的に飛び降りるパターンになりそう。どうも、本当にこういうのは流行があって、それに流される人が多いようで、だから子供はバカだっていうんだよ、とか思う。自己愛と、自己顕示欲の塊である、というのは、たしかに生きていくのが大変だと思うけど。それにしても、酔いすぎる。
 あと、関係ないけど、最近街を歩いているとつくづく女子高生ブームが終わったんだな、と思う。既に、女子高生ファッションが地味な生徒にまで浸透し、先端はひたすらオバサンになり、制服姿が免罪符としての効力を無くしてしまった。そして残ったのは、結局可愛い子は可愛いし、ブスはブスだし、どちらでもない子はただの高校生、というところに落ち着いた。そして、それを見て学習した中学生が私服で勝負をかけているというのが、中々、因果は巡る糸車ではある。でも、今、一番攻めに出てるのは女子大生だと思うけどね。結局女子高生は、色気で攻めてもいい、という状況を全体的に作り出すだけの役割を負わされていたのかも知れない。そして、大人が色気を前面に押し出す状況を作ってしまった。行き着く先はナマケモノの楽園。それも楽しいからいいけど。


1997.05.21

 Macintosh用のHTMLエディタ五種を徹底比較する、という企画をMacFanInternetという雑誌でやった。で、比べてみたら、あからさまに善し悪しがはっきりしたのだけれど、雑誌では様々な思惑があって、正しい順位が多分発表されないと思う。そこで、一足先に順位と得点を書いておく。詳しい説明は雑誌を見てね。

1位:Visual Page(9点)
2位:PageMill2.0J(8.7点)
3位:CyberStudio(6点)
4位:クラリス・ホームページ(4点)
5位:こざいく(1点)

 なお、点数は、点差にのみ意味がある相対比較の目安。VisualPageかPagiMillの使いやすい方を使って、レイアウトにメチャメチャ凝りたい場合にCyberStudioを併用する、というのが、現状のHTMLエディタの正しい使い方だ。このランキングは、多分、山田久美夫のデジカメランキングよりも正しいものなので、信用して欲しい。また、Windows用のものを含めても、上位三つは変わらないので、両方持ってる人は、ホームページ作成に限っては、現状ではMacintoshを使う方がいいようだ(でも、インターネット環境自体はWindowsが遥かに安定してる)。
 続いて、Macintosh用メールソフト徹底比較というのをこれからやるのだけれど、一人では難しいので、協力者を募集します。
メール下さい。


1997.05.22

 THE WRITER FORMALY KNOWN AS NOTOMI.という呼び方ってどう?プリンスの真似なんだけど、トッド・ラングレンのホームページを見てたら、彼が自分のことをTHE ARTIST FORMALY KNOWN AS TOOD LANGRENとか書いていたのが面白かったからだけど、考えてみたら、別に俺、納富として知られていたライター、というわけじゃないから、メジャーにならないと使えないのよね。結構、一部ではメジャーみたいだけどね。うーん、頑張って、こういう呼び方でいけるようになろう。この呼び方って、本当に好きだ。マジでおかしい。こういうカッコ悪さに惹かれるというあたりが、俺のマゾな部分かしらね。最近、悪ーい女にメチャメチャに騙されて、溺れて、金取られて、捨てられたりしたい、と凄く思うしね。ただの仕事からの逃避のような気もするけど。ホント、仕事というか、書くこと自体は凄く好きなんだけどね。何故か、仕事しよう、とか思うと、いきなり気持ちが萎えるのよね、最近。で、似たような状況にある吉田メグミと遊んでばっかいる。で、二人で何してるかというと仕事の話してるんだから、結局は好きなのよね。ワーカホリック気味なところもあるし。でも、それと、〆切直前までウダウダするのは別ものだっていうのが不思議。ま、学生のころから、毎日きちんと勉強するのは苦手だったし、そんなことが出来るなら、こんな仕事やってないだろうし、やっぱり、日本の社会の構造から考えると、どっかでドロップアウトした奴が、フリーの物書きとかデザイナーとかカメラマンとかイラストレーターとかになるってことなんだろうな。自由業の地位が低いってのも当たり前か。地位が上がっても困るけどね。社会的な地位がどうでもいい、という立場は、凄く楽だから。江戸時代の歌舞伎役者とかって、こういう感じだったのかな?とか思う。河原乞食って言い方、ライターにも当てはまる気がするもんね。


1997.05.23

 サッカーくじが始まるそうで、ニュースでは、街の人にどう思うかを聞いていた。で、まあ、いつものように「青少年への悪影響」という言葉が出てくるんだけど、ギャンブルって、あんまり青少年には影響ないような気がしてる。競馬で首吊った高校生とか、パチンコで破産した小学生とか、聞いたことないしね。大人への悪影響の方が強いぞ。で、それも悪影響というか、本人が勝手にやったことなんだから、どうでもいいじゃん、と思ってしまう。そもそも、公営ギャンブルとか、商売として認可されているギャンブルで、首吊ったり、破産したりする人って、何やっても同じだろう。
 同じようなことは、ドラッグにも言える。例えば、俺は、酔っていようと、病気だろうと、ラリってようと、寝不足だろうと、文章は、いつものように書ける。書けないときは、単に書きたくないときだけだ。そんなもんだと思う。プロであるってことは。だから、ドラッグで破滅する人って、結局、何やっててもいずれ破滅するんだろうと思う。四六時中やってる人って、他のことをしなくなるんだもん。それはドラッグで破滅するんじゃなくて、自分で破滅してるだけだ。
 もし、ギャンブルやドラッグを完全に開放した時に、破滅する人間が多かったら、それは破滅したい人が多いというだけのことで、それでいいんじゃない?ま、怠けたい人の言い訳を作ってやるというのも、国の役目だったりするのかもしれないけど。そういう時に、「人間は弱い生き物だから」とか言うのも、どうもなあ、と思うんだけど、こういうこと言うと「あなたは強いから」と言われて、差別されてしまうのよね。


1997.05.24

 マルチエンディングとか、物語の進行を決めるのはあなた、とか、色んな人が書き継いで一つの物語になるとか、予測不能であるとか、そういう物語には、何の魅力もない。物語は、人生にならいくつでもあって、フレキシブルに選択可能なものを、作家が無理矢理、自分勝手に選択した結果だ。だからこそ、面白いし、どのような選択をするかが作家性だろう。また、物語を構築するというのは、そういう選択を不断に行うということでしかないはずだ。そうじゃなかったら、生きてればいいだけだし、物語に触れる必要はない。さらに、マルチエンディングなんて、選択するという行為の放棄だし、物語の進行を決めるのが読み手といっても、それは結局、作家が選択しきれなかった部分を読み手に委ねているだけだ。リレー小説は、それなりの面白さはあるけれど、所詮は座興であろう。合作ならばともかく、不特定多数の人間が書き継ぐスタイルでは、つじつま合わせのための物語を、それぞれの人が考えついたシーンが繋ぐだけということになる。何をどう書くかを決めることが、物語を作ることだ。言葉は、繋いでしまうとうっかり繋がってしまうから、うっかり面白いお話が出来てしまうこともあるし、カットアップなんて手法も登場する。それはそれで、言葉の実験としては面白いけど、そこからは物語は生まれない。断片を並べて物語を作らせるという手もあるけど、それは、文章の役割ではないし、ビジュアルの使い方としても、ドキュメントの手法なので、そこから起ち上がる物語に虚構のパワーはない。どうせ、受け手は誤解するし、伝えたいことが全て伝わるわけではない。だからこそ、物語は作家のゴリ押しでなければ面白くない。


1997.05.25

「ねえ」
耳元で声がする。僕はキーボードを叩く手を休めて、振り返る。もちろん、誰もいない。そのまま、僕は送られてきたKUKIのCD-ROMに手を伸ばし、トレイにセットする。それまで書いていた原稿は、保存して終了させる。画面で繰り返されるSEX。タバコをふかしながら、なんとなく見つめる僕。右手が股間に伸びるけれど、マウスを手放すわけにもいかず、左手が無理な角度でマウスを掴む。そうやって1時間。
 再び、僕は仕事に戻る。
 ふと、視界の端に、黒いものが動いたように見える。壁を見ると、小さなシミがある。ずっと前からあったシミだ。
「これ、いっつも虫に見えて、ビックリするんだよなあ」
僕は呟いて、そのまま、机の端に置いてあったスティーブン・キングのトミーノッカーズ上巻を手にする。タバコをふかしながらページをめくる。ふと見ると、仕事中のMacintoshはスリープ状態に入っている。また、本に没入する。いつの間にか、手にしている本がトミーノッカーズの下巻に変わっているが、あんまりそういうことは意識しない。
 電話が鳴る。
「はい、納富です」
「もしもし、今、大丈夫?」
某女性ライターのMだ。
「うん、全然大丈夫。」
朝が来るまでに、あと4ページを抱える僕は、陽気に返事をする。どうせMも似たような状況のはずだ。
「ああ、そろそろ仕事しなきゃね。」
僕は言う。
「もう朝だよー。」
Mは言う。
「じゃね。」
電話を切って、また本に手を伸ばす。あ、その前に。
僕はトイレに行き、お茶を入れて、おもむろにMacintoshに向かうと、メールのチェック、及び返事書き。
 再びトイレに、今度は本を持って行く。トイレに持っていった本を食卓の上に置くと、かみさんに怒られる。そりゃそうだよね。僕だって、借りた本はトイレに持っていかないもん。何故、トイレで本を読むと、こんなにも集中できるのかは、謎だ。試しに、一度、トイレにノートパソコンを持ち込んで仕事をしてみたが、別に集中できるわけではなかった。
 いくらなんでも、そろそろ、仕事の片をつけなければならない。書くことが、〆切から逃げる一番簡単な方法だ。それは、ギャンブルの負けは、お金で払うことが一番だというのと同じ。トミーノッカーズは佳境に入って、怖い。怖いから、仕事でもして気を紛らわせよう。三度、僕はMacintoshに向かう。キーボードを叩くリズムも好調だ。「ロストワールド」。Mが言っていた小説のタイトルが頭をよぎる。そういえば、「ジュラシックパーク」は持ってたな。どこに置いてたっけ?そう思った瞬間、身体は本棚の前にいる。うーん、ここにはないな、と思っている僕の目は、このあいだ借りた「羊たちの沈没」という、絶対くだらないことは間違いないビデオを捉える。が、一瞬後、いくらなんでも、今、これを見て脱力するのは、あんまり僕が可哀想だ、と、意味もなく悲しくなって、仕事に戻る。
「ねえ」
耳元で声がする。振り返ると、窓の向こうで、女の子が笑っている。最近、仲良くなった訪問販売の子だ。時計を見ると、もう八時を回っている。そうか、世間では仕事が始まっているのか、と思う。こっちは昨日から引き続いてる。
 10時を過ぎたころ、女の子が帰っていく。もう、メチャメチャ疲れていた僕は、その後20分足らずで、残り2ページの原稿を書き上げる。さらに、30分で、別の原稿4ページを書き上げる。原稿を送ると同時に、僕は気絶するように眠りに落ちることが出来るくらいに疲れているけれど、そのまま、トミーノッカーズの続きを読んでしまうのである。
 こうやって、ぐれたライターは、自分の首を絞めながら、遊んでいる。楽しい。ライターは、マゾじゃないとなれないというのは、こういう理由なのである。
 ああ、オチがない。


1997.05.26

 華原朋美(こんな字だっけか?)の女王様っぽさというのは、結構凄い(そういえば、この人、自分のことを「ともちゃん」以外の呼び方で呼ばれると怒るんだって。何か、ヘンな動物みたいだぞ)。今の芸能人で一番じゃないだろうか。で、それを作ったのは小室哲也で、まあ、この人のマゾさ具合というのも、あまりに変態でついていけないものがある(ついていくなよ)。で、最近、別れたというのだが、怪しいと睨んでいる。別れたという話と、今の華原さんの歌の歌詞を並べると、もう、街で流れる、テレビ流れる、あの「Hate Tell A Lie」を聞きながら、快感に身悶えする小室哲也が容易に想像できてしまう。絶対、この別れたという話は、プレイだと思う。もはや、日本中の人の視線や思惑までプレイに取り入れるという変態性には、感動するしかない。気持ち悪すぎる。だって、ずーっと、他人のセックス見せられてるんだもん、俺ら。ああ、怖い。SMって、本当に奥が深い。
 で、小室がらみのオーディションを狙うみなさん。華原さんのスタイルを真似するんじゃなく、女王様性をアピールすることをオススメします。オーディションで「そうでございますね」とか、「何?」とか、「存じません」とか、そういうのを甲高い声で喋れば、結構一発で合格かもよ。でもプロはダメよ。小室さんは、女王を育てるのが好きなんだから。


1997.05.27

ムカつく。殴る。怖くなる。だから殺す。
あいつが嫌いだ。いなくなればいい。だから殺す。
なめるんじゃない!俺はヤル奴なんだ。だから殺す。
仕返しが怖い。だから殺すまでやる。
子供って簡単に死ぬんだなあ。だから殺す。
あの女が他の男に抱かれるのはイヤだ。だから殺す。
俺の方が上だってことを分からせてやる。だから殺す。
この先、生きててもツマンナイな。だから殺す。
金が欲しいな。でも訴えられたらやだな。だから殺す。
俺って、殺せるんだ。だから殺す。
全然関係ない奴なら、殺してもバレない。だから殺す。
・・・・。・・・・・・・・。だから殺す。

 もう、動機としては充分だ。そこまで来てる。時代の気分は「殺人」。気が付いた方がいいよ。いつでも、誰でも、人を殺せる。それが流行してる。だから、もうすぐ、本当に、普通の人が、「うっかり」殺人する。そんな事件がボロボロ出てくる。防弾チョッキ欲しいな。それと首輪と、ヘルメットと、セーフカップと、篭手と、スネ当てと。


1997.05.28

 「アメリカン・ゴシック」ってドラマのノベラゼーションを読んだ。凄かった。あれ、何故売り物になるんだろう。文章がヘタとか、構成が悪いとか、そういうレベルじゃないぞ。小学生の作文だ。それもヘタな奴の。あれ読んだら、誰でも作家になれると思って、作家志望が増えて大変だぞ。売春より作家の方が楽ってことになるぞ。そう、売春と言えば、一月に30人以上の客とって、100万稼いだ高校生がいるらしいけど、30人ていったら、一日一人、一か月休み無しでしょ。それだけ働いたら、ライターだって100万稼ぐぞ。売春も結構地道な商売だよね。だったら、フリーより風俗の方が割がいいな。うーむ、どこの世界もフリーは働くしかないのか。ねえ、フリーの売春婦の方々、仕事、大変? フリーの医者であるブラックジャック先生も、あんまり金持ってないしな。売春で月に100万ったって、そのペースで何年も働けるわけないしなあ。俺も、時々月に100万を越えることもあるけど、絶対、無理してる時だもんな。だから次の月は、がくっと仕事減るし、減らすし。で、テレビでお父さんに課題を出して、それが出来たら300万円相当のものがもらえる、というのをやってたけど、東海道五十三次を全部覚えるなんて、俺、絶対出来ないからなあ。でも300万円は魅力よ。どっかの番組の、メチャメチャ難しいゲームで100万よりは、絶対いい。で、テレビ見てて、結構、どのお父さんもちゃんと努力して、ちゃんとクリアしていくから、「お父さんって頑張るんだなあ」と思ってたら、出てるお父さんは、みんな、俺とあんまり歳がかわんない上に、俺も実はお父さんだったということに気が付くのだった。


1997.05.29

Guwaaaa
Gueeeeeeeee
Gyaaaaaaaaaaan


1997.05.30

 ミステリとか、ホラーとか、そういうのって、やっぱりなめられてるんだろうか?ついでにゲームとかCD-ROMとかも。神戸の事件に関するコメントを見ていると、つくづく、そう思う。あの犯人のメモと思われる、頭の悪い文章を見ると、どう考えたって、本なんか読んでないし、パソコンは使えないし、多分、ファミコンすらろくに使えないように見える。だって、あの文章と、あの手口だよ。せいぜい沙粧妙子止まり。で、あれ見て、ミステリだとか、ファミコン世代だとか言う人っていうのが、またそういうのを知らない。で、言えちゃうところが、「そういうのは知らなくても構わない」と思ってるってことで、なめられてるな、と思うわけだ。ミステリって、そんなんじゃないよ。横溝正史だって誤解されてるしなあ。
 で、さらにおかしいのが、あのメモや生首を置いていた、という部分だけを見て、「ひどい犯人だ」って言うんだもん。子供殺してる時点で、充分ひどい犯人なんだよ。決まってるじゃない。ホント何言ってんだ、と思う。


1997.5.31

 メールソフトの比較を通して、とりあえず現時点での、Macintosh上で動くメールソフトのランキングが出来たので発表する。でも、ほんと、メールソフトって、どいつもこいつも一長一短で、何故、決定版が出ないのか不思議だ。だって、必要な機能なんて、いくつかしかないのに、それを全部カバーしたのが一つもないんだよ。何なんだろう。独自機能という名前の、ただの差別化だけでは、どうしようもない。用途がはっきりしてるんだから、似てしまうのはしょうがないじゃない?まず、基本機能をどうにかしてね。
 では、ランキング。
01.CyberDog2.0
今の所、これが一番。
02.Dolphin
ずいぶん、使いやすくなった。でも、まだまだ。
03.Postino Classic
これでフリーウェアというのは、かなりのものよ。
04.NetScape Mail
やっぱNetScapeのついでに使えるのは大きい。
05.WillMail
メールソフトがオマケに付いたPIM。面白い。
06.Eudora Pro
値段が高いのがネック。5000円以下になればね。
07.クラリスメール
ときどき、挙動不審だけど、機能的にはNo.1か。
08.QuickMailPro
使い勝手は一番か。でも機能拡張入れるんだよなあ。
09.Internet Mail
Explorerを使わず、単体で起ち上がるのは魅力。タダだし。

 これ以上は、もうどうでもいい。最悪なのはPOSTPET、あれ可愛くないぞ。


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